転職を考えるとき、多くの人が「面接でうまく話せれば大丈夫」と思いがちですが、実際の採用現場では履歴書の段階で多くの応募者がふるいにかけられています。今回は、開業医の視点から「履歴書で損をしないために知っておいてほしいこと」をお伝えします。
📌 短期間(2年以内)での退職歴は大きなマイナスに

履歴書を見ていて、退職までの期間が極端に短い人はどうしても目に付きます。2年以内(特に1年未満)の退職が1度でもあると、正直なところ「またすぐ辞めるのでは?」という懸念が生まれます。
2年というのは私の個人的な意見ですが、1年以内の転職はどの開業医が見てもマイナスとして捉えるはずです。(逆に、1つの勤務先で長く勤めてきた人は高評価。)
これは開業医の本音です。特に小規模なクリニックでは、一人辞めるだけで現場のバランスが大きく崩れるため、安定して長く働けそうな人材を求める傾向が強くなります。
「今回は長く勤務し続けたい」、「今回が最後の転職にしたいと考えている」といった言葉はもう見(聞き)飽きました(笑)。
✅ もし短期離職がある場合は、どういった理由で短期離職となったのか、具体的に話せると良いでしょう。
📌 未経験分野への応募は「なぜうちに?」が最大の壁

医療事務の経験がない方がクリニックの医療事務に応募したり、未経験の診療科に看護師として応募したりするケースは少なくありません。
ですが院長側からすると、こんな疑問が浮かびます。
「え?今までやってない分野に、なんで急に?」
普通は、自分のこれまでの経験を活かして転職するのが自然です。にもかかわらず、未経験分野への応募があると、
- 前の職種、診療科で問題があったのか?
- またすぐ別の分野に移りたくなるのでは?
といったネガティブな想像が先行してしまいます。
✅ 未経験分野に挑戦する場合は、「なぜこの分野を選んだのか」「今までの経験をどう活かせるか」を具体的に言語化しておく必要があります。
実際は通勤時間と給料、勤務体系などから転職先を選んだ人が多いと思います。この人と面接してみよう、と採用する側に思わせる工夫も大事でしょう。
例えば、
- 未経験の診療科のため、非常勤で◯◯科のクリニックにスポットのアルバイトをしてみました。その結果…
- 医療事務は未経験ですが、転職するために医療事務の資格を独学で取得しました。
などの実績があると、私としては「おっ」と思います。履歴書で表面上の言葉だけでなく、実際に行動したというのは心に響きますね。
履歴書の話からは少しそれますが、未経験だけど常勤として働きたい職場に非常勤として勤務して、実績を積んでから常勤になる、というのは良い選択肢だと思います。
📌 履歴書に空白の数年間。何があった?

もう一つ、書類選考で気になるのが「空白期間」です。職歴の間に数年間のブランクがあると、院長としてはどうしても気になります。
- その間、何をしていたのか?
- 病気や介護、出産・育児など、何か事情があったのか?
何も書かれていないと、採用側は想像で補うしかありません。残念ながらその想像は、多くの場合「ネガティブな理由」で補われてしまいます。
✅ 空白期間がある場合は、簡潔でもよいので「家庭の事情で一時的に離職」や「資格取得のための勉強期間」などと補足しておきましょう。
それだけで印象は大きく変わります。
💬 開業医からのひとこと

履歴書は、あなたの“過去の行動履歴”そのものです。どんなに志望動機を立派に書いても、職歴欄がそれに伴っていなければ説得力は薄れてしまいます。
実は、志望動機はそれほど内容を見ていません。結局、職歴と希望勤務形態(常勤・非常勤、土曜勤務可・不可など)です。
また、履歴書からは「辞めグセ」や「軸のなさ」も見抜かれます。逆に、きちんと理由を添えて丁寧に書かれた履歴書は、それだけで信頼感につながります。
履歴書は、口ほどにものを言う。 まずは、あなたの「紙の第一印象」を磨きましょう。
また、今回の記事で履歴書がいかに大切かわかったと思います。「どのような履歴書にしたいか」という観点でキャリアを考えてみるのも良いかもしれませんね。
コメント